平成18年度講演会


演題   エレクトロニクス産業の変化,衝撃,可能性
     - 半導体からFPDまで,エレクトロニクス産業の将来を展望する -
講師   李 根秀 氏(アイサプライ・ジャパン(株) 主席アナリスト)
日時   平成18年12月18日(月)12:40−14:10
場所   群馬大学工学部3号館5階E大教室(群馬県桐生市天神町 1-5-1)
主催   電気学会群馬支所
後援   群馬大学アナログ集積回路研究会

参加者は72名で,内,学外からNECマイクロシステム,アドバンテスト,東芝など7名,群馬大学教職員7名であった。
講演は,1.エレクトロニクス産業の変化を追う,2.エレクトロニクス産業の今後,3.日本のエレクトロニクス産業が行くべき未来,4.日本のエレクトロニクス産業の課題変化を追う,という内容で行われた。講師の李根秀氏は,1987年3月群馬大学電子工学科(現在の電気電子工学科)を卒業し,現在,日経BP,電子ジャーナル,プレスジャーナル,半導体産業新聞等のセミナーで定期的に講師として講演を行ったり,日本経済新聞,日経産業新聞,電子ジャーナル,週刊エコノミスト,東洋経済,プレスジャーナル,半導体産業新聞などで独自の分析を執筆している。その経験を生かして,エレクトロニクス産業の現状,将来動向や課題について,多くのデータを分析した結果を用いて説明され,大変香味深かった。その中で,今後のエマージング製品と技術として,Digitalized Power Control and Management, MEMS Devices for Mobile Handsets, Personal Robots, Fuel Cells for Portable Electronics, 45nm and Emerging Photolithography Processes, SED and Carbon Nanotube-Based Televisions, Hybrid Electric Vehicles, Home Gateway Multimedia Platform and the IP Set-top Box, HD DVD and Blu-ray DVD, The Cell Microprocessor, NAND Flash Memory as a Replacement for HDD, Flexible Displays, and Power Operating Systemsを挙げていた。また,学生に対して,将来を見据えて準備できる人が生き残る,今後は海外からの人材と比較されるという,先輩からの厳しい指摘もしていただき,大変有意義な講演会であった。



演題   最近の自動車におけるエレクトロニクス技術について
講師   根岸 和美 氏((株)日立製作所 オートモティブシステムグループ
             EMS本部 群馬生産技術部 電子グループ 課長)
日時   平成18年11月20日(月)12時40分〜14時10分
場所   群馬大学工学部3号館5階509教室
主催   電気学会群馬支所
後援   群馬大学アナログ集積回路研究会


参加者は91名で,内,関東電化工業2名,澤藤電機1名,群馬大学教職員6名であった。
自動車におけるエレクトロニクス技術は環境,安全,情報の3つのキーワードのもと各種技術開発が行われている。現在,電装品は自動車価格の四分の一を占めているが,将来は半分を占める見通しとのことであった。個別の製品としては,1970年代後半の燃料噴射装置の開発から始まり,今後は次世代走行制御,車載端末,環境,そして電気自動車関連の製品が伸びる予測とのことである。例えば,現在の日産シーマクラスの自動車にはモーターが57個,マイコンが50台使われており,これらのマイコンを制御するプログラムはC言語で200万行に相当するそうである。
最新の技術開発としては,X-by-Wireがキーワードであり,要するにハンドルやブレーキペダルの動きをセンサーで捉え,そのデータを電気信号で送って車輪やブレーキパッドを動かす技術である。自動車の場合ノーブレーキ,ノーハンドルは人命に関わるため,絶対に起きてはいけないことなので,現状は油圧併用になっているが,先々油圧は無くなる見通しとのことであった。また,最後に自動車技術の難しさとして,法規制と過酷な温度条件についての話が紹介された。法規制としては,欧州RoHS指令により,製品に鉛を含んではいけないという規制ができ,これまでのハンダが使えなくなっているので,今までのハンダに代わる技術としてスポット溶接や導電性接着剤の開発,温度条件としは,200度に近い過酷な条件で使えるプリント配線板材料の開発について説明があった。
なお,根岸和美氏は本学電子工学科の卒業生(1981年)であり,活躍されている先輩の話を聞く事が出来,大変有意義であった。







演題   21世紀のエネルギーと核融合研究
講師   平野洋一 氏(産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門
     プラズマフロンティアグループ グループ長)
日時   平成18年10月10日(火)12:40−14:10
場所   群馬大学工学部3号館5階E大教室(群馬県桐生市天神町 1-5-1)
主催   電気学会群馬支所

参加者は80名(内,学外からミツバ,日本シィエムケイ各1名,群馬大学教職員4名,学生74名)であった。

支所長による講演者の簡単な紹介の後,産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 プラズマフロンティアグループ グループ長の平野洋一氏が,「21世紀のエネルギーと核融合研究」と題して約1時間15分の講演を行なった。講演内容は,歴史的にエネルギーと文明や生活や豊かさとの関係を,多くのデータを基に明瞭に分かりやすく解き明かす広範な内容であった。例えば,中世では,エネルギーは馬や牛と人の力を使う農耕で富を生産する文明形態であり,極少数の非常に豊かな階級が圧倒的多数の貧しい農民(農奴)層を支配する社会構造が世界を覆っていた。産業革命後には,石炭や更に石油等の化石燃料を用い始めた第2次エネルギー革命により,化石燃料という密度の高いエネルギー資源の利用が技術文明を急速に発達させると共に,富も以前よりも遥かに多くの人々へ分配されるようになり,貧民層にいた人々へ生活の向上と豊かさという恩恵をもたらした。同時に,世界の人口は,人口爆発と言われる程に急激に増大し続け,その増大率が予想以上に大きいことがデータで示された。これ等の過去の歴史の延長線上にある21世紀のエネルギー資源がどの様になるかが,詳細なデータを基に示され,膨大なエネルギー消費で支えれれている現代文明の持続可能性も議論された。幾つかの期待されているエネルギー発生又は電力発生技術の一つとして,核融合発電炉の研究の情勢が分かりやすく説明された。石油・天然ガス等の現在最も多く使われている化石燃料が枯渇する時期までに,商業用核融合発電炉の実現が間に合うかまだ不透明な状況にあるとの見方が紹介された。

35年間以上核融合発電炉の開発研究に携わってきた研究者から,エネルギーと文明や人々の生活と豊かさの関係,及び,21世紀のエネルギーと核融合研究の関係等の広範囲にわたる話を聞く事が出来,大変有意義な講演会であった。


演題   超電導リニア・山梨実験線の歩み
講師   北野淳一氏(JR東海 総合技術本部 リニア開発本部)
日時   平成18年6月26日(月)12時40分〜14時10分
場所   群馬大学工学部総合研究棟301教室(群馬県桐生市天神町 1-5-1)
主催   電気学会群馬支所

参加者は47名(内,学外からミツバ1名,群馬大学教職員4名,学生42名)であった。
支所長近藤教授の挨拶の後,JR東海総合技術本部リニア開発本部の北野淳一氏が「超電導リニア・山梨実験線の歩み」と題して講演を行なった。1997年4月に走行試験を開始した山梨リニア実験線は,今年で10年目に入った。これまでの技術開発成果と試験結果(最高速度581km/h,すれ違い最高速度1,026km/h,一日最高運転距離2,876km,累積走行距離50万km超,試乗者数11万人超)から,2005年3月には「実用化の基盤技術が確立した」との評価を得,更なる技術的完成度向上を目指して走行試験を継続している。講演では,超電導リニアモーターカーの推進および浮上の原理から始まり,N-N極間が2.7mでこれが基本量となっていること,名古屋万博のHSSTやドイツのトランスビットは常電導なので10mmの浮上量であるが,超電導リニアは100mm浮上で,地震などの揺れに対しても強く日本向きであることが説明された。また,実用化のための技術開発成果として,安全性として試乗会の欠航0回,トンネル突入時の騒音や振動の低減,超電導磁石の励消磁の試験等について説明され,最近はビスマス系高温超電導磁石(-253℃で超電導状態)を搭載した走行試験も行なっていることが紹介された。
20年間リニアモーターカーの開発に携わってきた技術者の話を聞くことが出来,大変有意義な講演会であった。





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