平成25年度講演会



演題   イプシロン開発と電気電子技術
講師   笹田 武志 氏
      (JAXA 宇宙輸送ミッション本部宇 宙輸送系要素技術研究開発センター 主任開発員)
日時   平成26年1月15日(水)14時20分〜15時50分
場所   群馬大学理工学部総合研究棟501教室(群馬県桐生市天神町1−5−1)
主催   電気学会東京支部群馬支所

参加者は21名(内,学生17名、教職員4名)であった。
 JAXA主任開発員 笹田武志氏に「イプシロン開発と電気電子技術」と題して講演頂いた。講演ではまず,JAXAの業務について簡単な紹介とロケットの概要の説明があり,1980年以降の日本のロケット打ち上げ成功率は65/70=93%で,トップのロシアの96%とほぼ同等であるなどの説明がされた。次に,イプシロンロケット開発について解説された。イプシロンロケットはH−VロケットやH−UAからの技術を活用し,小型衛星計画への対応や固体ロケットシステム技術の発展を目的として開発された。その結果,短時間・少人数で運用可能なシステムとなっていることなどが説明された。更に,アビオニクス(イプシロンロケットに搭載され飛行のために使用される電子機器)について解説された。具体的には,使用CPU・HR5000,OS・HRP,慣性センサとしてのレーザジャイロや力加速度計について説明された。最後に,群馬大学電子情報理工学科の教員の研究分野とロケットで使用される技術の関連が示された。講演会の最後に,いくつかの質問があり,例えば,電子機器などの地上と宇宙での違いは放射線対策,振動対策,温度環境などあることが説明された。  2013年9月14日のイプシロン打ち上げ成功の数ヶ月後にこの講演会を開催し,そこで用いられる技術特に電気電子技術について勉強することが出来,大変有意義な講演会であった。









演題   超高密度光ファイバ通信のための多値光変復調、光信号処理技術
講師   坂本 高秀 氏
      ((独)情報通信研究機構 光ネットワーク研究所 光通信基盤研究室 主任研究員)
日時   平成25年12月16日(月)14時20分〜15時50分
場所   群馬大学理工学部3号館5階509教室(群馬県桐生市天神町1−5−1)
主催   電気学会東京支部群馬支所

参加者は67名(内,学生60名、教職員7名)であった。
本講演ではまず、多値光変復調や光信号処理等に代表される、最近の光ファイバ通信技術の発展を支える構成要素の動作原理や特長・光信号の位相検出等の解説が行われた。またこれらを基盤とする、多値光信号の変復調や光位相同期・光周波数コム信号の発生およびシャノン限界に迫る超高密度光変調・超高速光計測への応用等、当該分野に於いて著名な国際会議における招待講演の内容を平易にご解説頂いた。今後の光ファイバ通信の更なる発展を予感させる話題が多々提供され、聴講する学生が熱心に耳を傾けメモ取りに没頭している姿が印象的であった。今後も当該分野における氏の活躍に加え、日本のプレゼンスが顕在する事を期待したい。









演題   機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた局在脳機能の研究
講師   程 康 氏
      (理化学研究所・脳科学総合研究センター)
日時   平成25年12月12日(木)14時30分〜16時00分
場所   前橋工科大学 1号館 142教室(群馬県前橋市上佐鳥町460番地1)
主催   電気学会東京支部群馬支所
協賛   NPO Wireless Brain Network
     前橋工科大学 工学部 システム生体工学科

この講演会は、医療現場で使用されている機能的磁気共鳴画像法(fMRI)の原理と応用を電気学会会員および学生・教職員に広く知っていただくために企画された。参加人数は123人(学生:113人、教職員:8人、外部:2人)であった。 まず、BOLD (Blood Oxygenation Level-Dependent:血液酸素飽和度依存性) 法と呼ばれる機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) 研究において最も広く用いられる手法の原理が分りやすく説明された。つぎに、単純なレチノトピーマッピング研究 (ヒト視覚野おける視野表象の研究) の結果を示し、fMRI実験が一般にどのように行われるのかということが説明された。さらに、講師の最近の研究の中から、高空間解像度 fMRI によるヒトの第一次視覚野における機能構造マッピング研究、マザリーズ (母親語) が幼児をもつ母親の脳で特別に表現されていることを示した研究、プロ棋士による直感的な決断が生み出される脳の部位についての研究が紹介された。講演後、活発な質疑応答があった。









演題   溶液中グロープラズマ反応場を用いたモノづくり−その概念と最新応用
講師   西村 芳実 氏
      (株式会社 栗田製作所 特別顧問、 大阪市立大学非常勤講師)
日時   平成25年11月20日(水)12時40分〜14時10分
場所   群馬大学理工学部3号館5階509教室(群馬県桐生市天神町1−5−1)
主催   電気学会東京支部群馬支所
共催   群馬大学地域グリーンイノベーション教育研究推進室

参加者は28名(内,学外から金属技研の2名)であった。講師の西村氏は栗田製作所において高電圧パルス電源の設計製作をされているが、大学等の共同研究において溶液中グロープラズマを用いたナノ粒子作成等の応用研究もされている。今回の講演ではプラズマの基礎から説明が始まり、溶液中グロープラズマ放電について、多くのビデオ映像をまじえ、詳細な説明があった。高電圧工学の教科書には液体の絶縁破壊として、水は扱われてはいない。水に直流電圧を加えると電気分解になり、放電が起こらないためである。しかし、パルス高電圧電源によって発生したパルス高電圧を印加すると、瞬間的に印加された高電圧による強い電界によって水中でも放電を起こすことができ、この時に発生したラジカルと呼ばれる励起粒子を用いると、水の殺菌が行えることが良く知られている。西村氏によると、この分野はまだ新しい分野であり、いろいろなアイデアにより多くの応用研究がなされ、中には実用化寸前のものもあるとのことであった。また、講演の途中に高抵抗測定器であるメガーを用い、炎がお辞儀するという実演(写真3枚目)や、実際に水道水を用い、溶液中グロー放電の実演もあり、大変興味深く、有意義な講演会であった。













演題   「対称3線方式」回路によるHIMACでの低雑音化の成功と新しい交流回路理論
講師   佐藤 健次 氏
      (大阪大学名誉教授,NIRS/HIMAC,KEK/J-PARC)
日時   平成25年7月11日(木)12時40分〜14時10分
場所   群馬大学理工学部8号館3階8N33教室(群馬県桐生市天神町1−5−1)
主催   電気学会東京支部群馬支所
共催   群馬大学アナログ集積回路研究会

参加者は40名(内,学外から日立金属,沖電線,IDX,放医研,TRL)であった。
 講演ではまず,PCの電源ケーブルのフェライトコアを通してもノイズが残っているという身近な話題から入り,群馬大学重粒子線医学研究センターの偏向電磁石電源,放射線医学総合研究所の重粒子線がん治療装置(Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba:HIMAC)の主電磁石電源,J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)の加速器Main Ringシンクロトロンの主電磁石電源,欧州原子核研究機構(CERN)のLHC電源,沖電線のSYMケーブルなどに,対称3線方式の考え方が採用されていることが説明された。次に,開発に携わってこられたHIMACでの取り組みから,上下の配線が対称でない場合,ノーマルモードノイズとコモンモードノイズが結合してしまい,電源・負荷・配線の対称化とコモンモードフィルタとノーマルモードフィルタが重要であることが説明された。続いて,電磁波を放射するときの新しい交流回路理論として,通常の2点間の電位差に関係するコンデンサでなく,無限遠点からの電位に関係する電位係数(これを新しい回路記号とすべき)および遅延ポテンシャルを用いた新しい考えが説明された。なお,この内容は日本物理学会の英文雑誌JPSJの2009年版に掲載され,2011年の日本物理学会の第16回論文賞を受賞している。最後に,配線の理論に関してマックスウェルをはじめとする物理学者が気付かなかった点が紹介され,強電回路,弱電回路に対称3線方式を適用し,ノイズの少ない回路の開発への勧めが,特に若い学生に対してなされた。  講演会終了後,企業の方との討論などが1時間以上続き,関心の高さが示された。理論は難しかったが,目から鱗が落ちるような話で,大変勉強になり有意義な講演会であった。









演題   群馬県の再生可能エネルギーの概況と課題
講師   西薗 大実 氏
      (群馬大学教育学部教授)
日時   平成25年6月26日(水)10時20分〜11時50分
場所   群馬大学理工学部3号館5階509教室(群馬県桐生市天神町1−5−1)
主催   電気学会東京支部群馬支所
共催   群馬大学地域グリーンイノベーション教育研究推進室

参加者は92名(内,学生82名,外部6名,教職員4名)であった。
 群馬大学教育学部,西薗大実教授に「群馬県の再生可能エネルギーの概況と課題」と題して,再生可能エネルギーの特性を整理し,群馬県での導入の可能性や条件について講演していただいた。講演ではまず,地球温暖化の原因と固定価格買い取り制度について概説された。次に,原子力発電の代替候補として,地熱発電,太陽光発電,風力発電,小水力発電の群馬県における適用状況と得失などが説明された。地熱発電は,利用できる温度は低く技術的な問題があるが,全国5位のポテンシャル(79.8万kW)を有しており,バイナリ―方式なら可能性があることが説明された。太陽光発電については,群馬県中南部は長野県に次いで日射量が多く,14MJ/平方m・日の地域であることが説明された。風力については,群馬県は空っ風として知られているが,有効な地域は赤城山の中腹以上にしか存在しないことが説明された。小(マイクロ,ピコ)水力発電については,水路の傾斜が必要であるが,山の中では設置費用の問題があること,また水利権の問題もまだ残っていることなどが説明された。最後に,先生の専門であるバイオマスについて,色々な物を利用した適用例とその問題点が紹介された。  東日本大震災による原発停止,FIT(固定価格買取制度)の実施によって,再生可能エネルギーに対する関心は急速に高まっている現在,太陽光発電は10kW超〜メガソーラーまで多数の建設が行われているが,風力,小水力,バイオマス,地熱,地中熱などには課題も多く,まだ導入事例は少ない。このような現状において,再生可能エネルギーの特性,群馬県での導入の可能性について勉強することが出来,大変有意義な講演会であった。








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