平成27年度講演会



演題   一技術者の研究開発における苦労話
     (自動車ナンバー自動読取システムの研究開発について)
講師   水町 和寛 氏
      (公益財団法人日本交通管理技術協会研究部長)
日時   平成28年2月1日(月)12時50分〜14時10分
場所   群馬大学理工学部3号館5階509教室(群馬県桐生市天神町1−5−1)
主催   電気学会東京支部群馬支所

参加者は68名(内,学生60名,教職員8名)であった。
現在,公益財団法人日本交通管理技術協会研究部長をされている水町和寛氏が警察庁の技術職時代の1981年から1985年の後半3年間に開発を担当した「自動車ナンバー自動読取システム」について解説された。このシステムはNシステム(N:Number)と呼ばれ,警察庁と国内3社の共同開発であり,位置センサー,撮像,プレート切り出し,文字認識,システムの5グループで開発研究を行った。最も難しかった点は,走行中の車のナンバープレートをぶれることなくカメラで撮影することであった。時速160km/hの車のナンバーを読み取るため,位置センサーと1車線あたり3台の撮像部を設けている。撮像部では,シャッターについて検討し,カメラのシャッターは不可能,PLZTシャッターでも難しく,最終的にはモータで高速回転するロータリーシャッターを開発した。ナンバープレートの切り出しは,画像をモノクロにしてヒストグラムで認識するシステムとした。文字認識はパターンマッチングを用いた。しかし,これらを組み合わせたシステムにするとうまく動作せず,プレハブでの冬の寒さ,夏の暑さに耐えながら完成させた。  以上の自動車ナンバー自動読取システムの研究開発における苦労話をプロジェクトX風にお話された。当時は現在のような素子,機材が無い中で,数々の技術的なハードルを越え,また開発に携わった皆のなんとしてもやり遂げるという思いにより開発してきたそのやる気と心意気に感動し,学生だけでなく教員にとっても大変有意義な講演会であった。 なお,本講演会は当初1月18日に予定されていたが,当日の大雪で延期になり2週間後の2/1に開催された。









演題   磁気と生体の不思議な関わり
講師   関野 正樹 氏
      (東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻)
日時   平成27年12月10日(木)12時50分〜14時20分
場所   前橋工科大学 1号館 141教室(群馬県前橋市上佐鳥町460番地1)
主催   電気学会東京支部群馬支所

参加者数は92名(内,学生85名,教職員5名,外部2名)であった.
本講演では,生体と磁気の関連性に焦点をあてて,磁気による生体作用や磁気を利用した医療応用技術を中心とした内容であった.磁気と生体とは,遠い関係にあるように見えて,実は様々な興味深い接点があり,渡り鳥や,ある種のバクテリアは,地磁気を感知して方角を知ると言われているが,そのメカニズムはまだ謎に包まれている.また,磁界は人体の奥まで到達し,無害であるという特徴を活かして,医療分野でも磁気の利用が進んでいる.講演では例として,体の内部構造を3次元的に可視化できるMRI(磁気共鳴画像)や,パルス磁界による神経の刺激などが紹介され,生体が持つ磁気感覚から,磁気の医療応用まで,磁気と生体との不思議な関わりを紹介する内容であった









演題   和算と算額
講師   小林 龍彦 氏
      (前橋工科大学 名誉教授)
日時   平成27年10月9日(水)10時20分〜11時50分
場所   群馬大学理工学部3号館5階509教室(群馬県桐生市天神町1−5−1)
主催   電気学会東京支部群馬支所

参加者は35名(内,学生25名,外部0名,教職員10名)であった。
和算とは,江戸時代の日本において発達した算術,数学ことである。江戸時代,他には漢術,蘭算,洋算があった。ちなみに,明治4年に政府が洋算を採用し現在まで続いている。和算には2つの文化的特長がある。1つは「好み」あるいは「好」である。これは解答なしの問題のことであり,数学者や数学を好む者がこれを解き,発展した新問題を出し,リレー方式で引き継がれたようである。例えば,「勾股積」につては,「いま,一つの直角三角形がある。直角を挟む2辺の長さを乾(a),坤(b),斜辺を東(c)とし,c+a=81間,c+b=72間が与えられたとき,東方長さなにほどそ,・・」。そしてそこには,関孝和の関流,最上流などの流派があったことが紹介された。もう1つの特長は「算額」である。これは絵馬や額に数学の問題や答,術文を書いて神社や仏閣に奉納した物である。算額について,各県に現存している数,文献の数の一覧表を示し,詳しく説明された。特に多いのは,空襲のため現存数が少ない東京都や大阪府を除くと,福島県,岩手県,そして群馬県,埼玉県である。その中の代表的な算額について紹介された。群馬県では高崎市や太田市の算額や群馬大学の教員であった北村友圭氏,道脇義正氏の算額も紹介された。内容としては,平面図形に関する問題の算額が多かった。また,和算を楽しむ絵もあり,そこには女性も参加していた。最後に,算額を世界遺産へ申請する取り組みが紹介された。  質疑では,学生からの質問も2つあり,興味の高さが伺えた。江戸時代から女性を含む数学愛好者が数多く算額しているこや和算(好み)の内容の難しさに驚かされ,学生だけでなく教員にとっても大変有意義な講演会であった。








演題   山田製作所での自動車部品開発履歴
講師   一瀬 正信 氏
      (元山田製作所常務取締役品質保証本部長)
日時   平成27年7月15日(水)10時20分〜11時50分
場所   群馬大学理工学部3号館5階509教室(群馬県桐生市天神町1−5−1)
主催   電気学会東京支部群馬支所

参加者は84名(内,学生74名,外部3名,教職員6名)であった。
昭和43年,群馬大学工業短期大学部電気科を卒業し,電気に関係ない自動車部品を製造していた地元の企業へ就職してから約25年間,開発部門に所属して関わってきた開発事例を中心に「山田製作所での自動車部品開発履歴」と題して,講演された。まず,ステアリング・ギヤーボックスの開発では,開発し車への搭載後ハンドル・ガタ(打音)が発生し1ヶ月に4000台のクレームが来てしまい,それを担当することになり,ラックの色々なガタ,ピニオンのガタなどを詳細に分析し原因を突き止めた。そこから,「分けることが分かるに通じる」ということを学んだことを説明された。またその際に,「現場・現物・現実=三現主義」を重要視し,なぜ,なぜと原因を掘り下げることが大切であることを説明された。
次に,オイル・ポンプやウォーター・ポンプの開発におけるガタについては,修理の現場を見る三現主義を通して原因を突き止め,数値化・見える化により,開発をスムーズにしたことなどを説明された。 電気科を卒業されたが,機械関係の開発の仕事のため,会社に入ってから歯車,材料力学,流体力学などと製造方法に関する勉強をしてきた事や入社当時300余名の中小企業だった為,設計,試作,実験を自ら行ってきた事などを通して,会社を大きくしてきたことなど,先輩の活躍してきた事実を学ぶことが出来,学生にとって大変有意義な講演会であった。








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