平成11年度講演会
平成11年12月6日(月)12時40分から14時10分まで、電気学会東京支部群馬支所主催の講演会が電気電子工学科E大教室で開催された。この講演会は同支所が年数度開催する講演会の一つで、今年度最後のものである。参加者は93名(内、学外からアンリツ(株)の3名)であった。支所長の横塚教授の挨拶の後、(株)芹沢システムリサーチ、代表取締役の芹沢誠一氏が「自動車用電子機器の検査機」と題して講演した。
講演では、24年前に独立して電子機器設計・製作の会社を起こした動機や、物を設計、製作してそれが社会で使われるという仕事の面白さが経験談などを通して語られた。また、マイコンやパソコンを活用した検査機の実際として、自動車用エンジンコントローラの仕組みやそれらを検査する検査機の仕組みが初期の4ビットマイコン等の展示とともに紹介された。
芹沢氏は昭和42年本学電気工学科(現、電気電子工学科)の卒業生であり、第一線で活躍されている先輩の話を聞くことが出来、また後輩に対して「頭で考えたことは必ず実現する。夢を持ってほしい」等のメッセージもあり、大変有意義な講演会であった。
最後に、群馬大学工業会より平成11年度教育活動支援事業費の補助を受けたことに謝意を表します。
参加者は115名(内、学外から東京電力2名、日本CMK、大洋電子、三洋電機、沖電気工業の計6名)で電気電子工学科3年生および修士1年生が多かった。
講演概要
極地の夜空に乱舞する光りの渦、オーロラ。TV番組や最近は観光ツアーなどで、ご覧になった方もあると思います。この現象は神秘的でロマンチックということだけではありません。地球環境にとって重要なことがそこで起こっているのです。太陽から吹き出すプラズマ流、太陽風は、宇宙に浮かぶ惑星「地球」の磁場ともみ合って、電気工学で言うところのMHD(電磁流体)発電を行い、膨大な電力を発生しますが、これが一気に放電したものがオーロラです。現在、地球温暖化、オゾンホールなど、地球環境の変化に社会の関心があつまっていますが、オーロラは地球大気圏の外側、つまり宇宙環境の状態を地球上の人間に、目に見える形で教えてくれるものであります。宇宙環境は地上の人間には縁遠いものと思われるかもしれませんが、実は意外にわれわれの実生活に密着しています。例えば 、太陽面では時々爆発が起こり、放出された高エネルギー荷電粒子群が地球を襲うこと(磁気嵐)がありますが、この時、地上4万kmの宇宙空間に浮かんだ通信衛星、放送衛星などは、厳しい宇宙環境に曝され、電子回路のICが誤動作し、通信や放送に障害を与えたりすることが起こり得ます。また、2000年代に宇宙ステーションが稼動を始め、人間活動が宇宙空間まで広がる時期には、人間をこのような宇宙環境の激変から守るための環境予報、つまり宇宙天気予報が重要になると考えられています。
このように、単に美しいだけではなく、人類の生活環境にも影響の深いオーロラはどのように科学研究されているのでしょうか。本講演では、最近のハイテク観測で明らかになってきたオーロラ現象の研究成果を縦糸に、また大学で電気工学を学び、現在、南極や北極でオーロラ観測を続けている講師の体験談を横糸に、光り渦巻くオーロラのビデオ映像や北極、南極の美しい風物を背景に語られました。
話しの項目
1)躍動するオーロラ(ビデオ)
2)見えるオーロラを形づくる、見えない電磁気的構造
3)巨大な宇宙発電所-地球-とオーロラ電気回路
4)オーロラは人間社会にとって?
5)惑星の光冠 -人工衛星から見たオーロラの全貌-
6)オーロラの中に飛び込むと何が見える? -オーロラのロケット観測-
7)オーロラの高さを測量する -オーロラトモグラフィー-
8)オーロラとネオンサイン 光りの色は何で決まる?
9)昼でもオーロラは見える -電波で見るオーロラ-
10)北極と南極のオーロラは同じか、違うか
演題 :「省エネルギー法改正のポイント」
講師 :関根恵子 氏(関東通商産業局 資源エネルギー部係長)
演題 :「ビルの大温度差蓄熱空調システムによる省エネルギー」
講師 :西村貞生 氏(大和設備工事(株)取締本部長)
参加者は57名(内、学外から東京電力、日本CMKの計2名)で電気電子工学科4年生および修士1年生が多かった。
支所長の本学横塚教授の挨拶及び幹事石川の講演内容の簡単な説明の後、ロシア、モスクワ電力工科大学の V.P.Lunin教授が「非破壊検査 −電磁界に基づいた手法− 」と題して英語で講演した。同教授は共同研究のために2週間、工学部電気電子工学科に滞在しており、その間に本学での講演会を引き受けていただいた。
講演は、材料、機械、建物を壊さずに検査する非破壊検査について、(1)非破壊検査法の概要、(2)電磁界を利用する場合の理論、(3)傷を同定するために必要な有限要素法、境界要素法、ニューラルネットワークの説明、(4)直流電位差法、(5)漏れ磁束法、(6)渦電流法、(7)遠隔渦電流法について、基礎からモスクワ電力工科大学で実際に研究されている最先端の内容まで丁寧に講演された。講演後、学生からの質問も含めて活発な質疑討論が行われた。更に、数名の者が最後まで残り、3時頃まで討論が続いた。
講演はゆっくり丁寧に行われたので多くの学生が理解し、この分野を勉強することができ、大変有意義な講演会であった。
参加者は72名(内、学外から東京電力5名、日本地工3名、県庁1名、前橋工科大1
の計10名)。
支所長の本学横塚教授の挨拶の後、東京電力(株)電力技術研究所、雷・絶縁解析グループ、主任研究員の山田剛史氏が「雷現象と電力設備の耐雷対策について」と題して講演した。
電力流通設備である送電・変電・配電設備は、線・面として広範囲に設置され、自然現象である雷・風・雪などの脅威にさらされている。特に、雷による事故は、供給支障を伴う事故の最大の原因となっている。今回の講演では、雷発生のメカニズムと送電・変電・配電設備の耐雷対策が詳しく説明された。更に、現在研究されている雷観測などについても述べられ、最後に活発な質疑討論が行われた。
群馬県は雷の多い県であり、雷を身近に感じるが、写真などの豊富な資料を用いた講演会で大変有意義であった。
参加者は42名(内、学外から東京電力、電子通信グループの5名)。
支所長の本学横塚教授の挨拶の後、(社)電信電話技術委員会顧問の飯田徳雄氏が「電気通信の標準について」と題して講演した。
現在、電気通信分野ではマルチキャリヤー(複数の電気通信事業者)の時代を迎え、電気通信事業者間の通信網を円滑に相互接続するために、ITU(國際電気通信連合)を中心にし
て標準化活動が活発に行われている。今回の講演は、標準化の意義、組織、動向に続いて
、最近急速に普及した移動電話システムに関してIMT-2000が紹介された。これは準動画の
伝送が可能、世界中でのサービス、固定網並の高品質という特徴を持つ次世代移動通信シ
ステムである。
飯田氏は昭和32年群馬大学電気工学科(現、電気電子工学科)の卒業生であり、学生にとっては第一線で活躍されている先輩の話を聞くことが出来、大変有意義な講演会であっ
た。